ウクライナとロシア

プーチン演説51)それはコソボの審理のときに国際裁判所に提出されたものだ。「独立宣言は国内法に違反することが度々起こる。しかし、それは国際法に違反していることを意味しない」。自分たちで書いて世界に向けて吹聴したのだ。すべてをねじ曲げ、そして今度は憤慨している。どういうことだ?
プーチン演説52)クリミアでの行動はすべてはっきりと、これ(コソボの例)と一致する。なぜかコソボのアルバニア人はよくて、クリミアのロシア人、ウクライナ人、タタール人は禁止されているのだ。なぜなのか?
プーチン演説53)そして欧米は今度は、コソボは特例だと言う。それは結局例外だったということか?コソボの紛争では多大な人的被害があったから?それは法的根拠になるのか?国際裁判所の決定はそんなことはまったく触れていない。二重基準どころではない。驚くべき原始的な直接的な皮肉だ。
プーチン演説54)昨日までは白と言っていたのに、明日には黒と言うようなものだ。あらゆる紛争は人的犠牲が出るところまで行かなければならないということか?
プーチン演説55)もしクリミアの地元自警団が事態を掌握しなかったら、同じように犠牲が出たかもしれない。幸いそれは起きなかった。ただの一つも武力衝突は起きなかったし人的犠牲もなかった。なぜか?答えは簡単だ。市民と彼らの意思に反する形で戦うのは難しいだけでなく実際には不可能だからだ。
プーチン演説56)これに関してはウクライナ軍に感謝したい。それは決して小さくない部隊だ。武装兵は2万2千人。武力に訴えなかったウクライナ兵士に感謝したい。もちろん、これに関しては別の見方も出てくる。クリミアにロシアが武力によって干渉したと。でもそれはおかしい。
プーチン演説57)一発も発砲せず、一人も犠牲者を出さない形で武力介入が行われたことが歴史上あっただろうか。私はそうした例を知らない。
プーチン演説58)親愛なる皆さん。ウクライナを取り巻く環境は、まるで鏡のように今世界で起きていること、そしてかつて世界で起きたことを映し出している。地球上で2極化世界(冷戦)が終わった後も、世界は安定しなかった。カギとなる国際的な仕組みは強化されず、残念ながら頻繁に崩壊した。
プーチン演説59)米国率いる西側は、政策を実行するのに、国際法ではなk、「力の原則」に従う方を好んだ。彼らは自分たちが選ばれたもので、例外だと信じた。世界の運命を決めることができるのは常に彼らだけに与えられた権利だと。彼らはそのように振る舞っている。それが正しいと言わんばかりに。
プーチン演説60)国家の主権に対して武力を使い、同盟を組むのが常套手段だ。我々に賛同しないものは、我々の敵だとみなす。攻撃を合法だと装い、国際機関の必要な決議を破り、様々な理由で都合が悪くなれば、国連、安保理をすべて無視する。
プーチン演説61)ユーゴスラビアでもそうだった。1999年のことをよく覚えている。自分でも目の当たりにしたが、信じられなかった。欧州の偉大な都市の一つであるベオグラードが数週間のうちに空爆で破壊されたのだ。そしてその後、本当の武力介入が始まったのだ。
プーチン演説62)果たして安保理決議は、ユーゴスラビアのこの問題について、こんな風に解決しようという内容だったか?そんなわけはない。そしてアフガニスタン。イラク。リビアではあからさまに国連安保理決議に違反した。飛行禁止区域を守る代わりに空爆が始まったのだ。
プーチン演説63)一連の「カラー革命」(一部の旧ソ連諸国で起きた革命)もそうだ。それが起きた国では、圧政や貧困、展望のなさに人々が疲れ果てていた。それは理解できる。しかし、そのような感覚が皮肉なことに利用されたのだ。
プーチン演説64)利用した方の国(欧米)は、それがスタンダードだという。しかしそれは彼らの人生や伝統、文化には当てはまらなかった。結果は、民主主義や自由の代わりに、カオスだった。暴力の激突であり、政権転覆の応酬だった。「アラブの春」は「アラブの冬」へと変わった。
プーチン演説65)同じようなシナリオがウクライナでもあった。2004年の大統領選で必要な候補を押しつぶすため、法的には規定されていない3回目の決選投票が行われた(オレンジ革命のこと)。憲法に照らせば、ナンセンスであり、お笑いぐさだ。そして今、用意周到に武装した人たちが投入された。
プーチン演説66)いったい何が起きているのか、我々はよくわかっているし、それらの行動がウクライナやロシアに反発し、欧州で起きている統合政策に反対する動きであることもわかっている。
プーチン演説67)ロシアは誠実に欧州側と対話を目指してきた。常にかぎとなる問題については協力を呼びかけた。信頼レベルを強化したいし、私たちの関係を対等で開かれた、純粋なものにしたいと思っている。だが、相手方からの歩み寄りはなかった。
プーチン演説68)それどころか逆に、何度も我々はだまされてきた。我々の見えないところで事が決められ、実行された。例えばNATOの東方拡大やロシアの国境近くに軍事施設を設けることなどだ。彼らは同じことを繰り返してきた。「それはあなた方に向けたものではありません」。信じられない。
プーチン演説69)(欧州)ミサイル防衛システムの展開もそうだ。我々にとっては脅威にもかかわらず、施設や装置は設置されている。ビザ問題交渉もそうだ。グローバル市場における自由なアクセスと、純粋な競争についての約束もそうだ。
プーチン演説70)現在、我々は制裁に脅かされている。しかし、我々は(今でも)一連の制限下で生きており、国や経済において、それははっきり存在している。例えば冷戦時、米国や他の国もソ連に軍事技術・戦略物資を売ることを禁止した。ココムと言った。対共産圏輸出規制のリストだ。
プーチン演説71)形式的には今日廃止されているが、それは形式的なものだ。実際には多くのものがまだ禁止されている。
プーチン演説72)我々は根拠を持って次のように推察する。すなわちロシアを抑制しようとする悪名高い政策は、18世紀、19世紀、20世紀にわたって続いてきた。そして今も続いている。
プーチン演説73)我々は常に追い込まれている。その理由は、我々が独立した立場を取り、それを守り、率直に言い、偽善者ぶらないからだ。しかし、我々にの我慢にも限度がある。ウクライナのケースでは、欧米は一線を越え、乱暴で無責任でプロ意識のないことをやった。
プーチン演説74)彼らだってよくわかっているはずだ。ウクライナやクリミアには数百万人のロシア人が住んでいるということを。(西側は)政治感覚や基準に対する感覚を失いすぎて、ウクライナで次にどんなことが起きるかということを予見できなかったのだ。
プーチン演説75)ロシアにとっては引き下がれなくなった。もしバネを限界まで押しつけたら、いつか力強く戻る。それを常に肝に銘じるべきだ。
プーチン演説76)今必要なのはヒステリーな対応をやめ、過度に冷戦などと言うことをやめ、はっきりしたことを認めることだ。すなわち、ロシアは自発的に、積極的に国際社会に参加するプレイヤーなのであり、他国と同様、考慮され、尊重されるべき国益を持っているということだ。
プーチン演説77)クリミアへの我々のアプローチを理解してくれた国々には感謝したい。まず中国だ。中国の政権は、ウクライナとクリミア周辺の歴史的、政治的な側面をすべて検討してくれた。そしてインドの自制と客観性の高く評価したい。
プーチン演説78)米国民に言いたい。独立宣言は彼らにとって何よりも重要で誇るべきものだ。クリミアの住民が自分たちの将来を自由に選びたいと思うことはその価値観にあわないとでも言うのか?我々を理解して欲しい。
プーチン演説79)私のことを欧州は理解してくれると信じている。とりわけドイツ人は理解してくれるはずだ。東西ドイツが統合するときの政治協議で、ドイツの同盟国のうち統合に賛成したのは少なかった。それに引き換え、我が国はまったく誠実に賛同した。
プーチン演説80)我々は統一を求めるドイツ人の抑えがたい希望を支持した。まさかドイツ人は忘れてないとは思うが。ドイツ国民も同様に、ロシア世界、歴史的なロシアの統一復興に対するロシア人の希望を支持していると考える。
プーチン演説81)ウクライナ国民に言いたい。私たちをわかって欲しい。あなたたちに損害を与えたくないし、民族感覚を侮辱したくない。いつもウクライナの領土一体性を尊重してきたし、私たちは、自分の政治的野心でウクライナの統一を犠牲にするような人たちとは違うのだ。
プーチン演説82)彼らは「偉大なウクライナ」とスローガンを掲げて装ってはいるが、国を分断するあらゆることをしてきた。今日の国民の対立は彼らが持ち込んだものだ。ロシアを利用してあなたたちを脅す人たちを信じないで欲しい。クリミアのあと別の地域だと叫んでいるような人たちのことだ。
プーチン演説83)ロシアはウクライナを分割したいのではない。それは必要ない。クリミアには今後もロシア人、ウクライナ人、タタール人がそのままの状態で残る。繰り返す。クリミアはこれまでもこれからも、あらゆる民族にとってのふるさとであり続ける。しかし、ファシストのものにはさせない!
プーチン演説84)クリミアは我々共通のものだ。地域安定に最も重要な要因だ。このような戦略的な場所は、強くて安定した主権のもとにあるべきだ。それは実際、今日においてはロシアだけだろう。
プーチン演説85)ウクライナやロシア人にも言いたい。我々はあなた方とともにいる。近い将来、歴史的な視点でみれば、(このままでは)クリミアを完全に失うかもしれないのだ。考えて欲しい。
プーチン演説86)キエフではウクライナがNATOに入るという話も出ている。クリミアとセバストポリにとってそれは何を意味するか?ロシアの偉大な軍事都市に、NATOの軍艦が出現することはロシア南部にとって脅威となるだろう。それはつかの間もことではなく、全く具体的な脅威なのだ。
プーチン演説87)もしクリミア人が今回のような選択しなければ、本当に(そうした脅威が)起こりうることだった。(クリミアの住民よ)ありがとう。
プーチン演説88)ところで、我々はNATOとの協力に反対しているわけではない。全く違う。我々が反対しているのは、軍事同盟としてのNATOが、軍事組織のあらゆる内部機能を伴って駐留することに反対なのだ。我々の塀の近くや我々の家の近所、歴史的な土地の近くで展開するのに反対なのだ。
プーチン演説89)セバストポリに行って、NATOの海軍兵の家に招待される光景は全くイメージできない。彼らはまったく違う人たちであり、私たちが彼らのもとに行くのではなく、私たちが彼らをセバストポリに客人として招待する方がいい。
プーチン演説90)今ウクライナで起きている事に私たちは心を痛めている。ウクライナでは今日、明日をどう生きればいいかかわからない状態だ。私たちの心配は理解されるはずだ。
プーチン演説91)我々は単に親しい間柄ではない。事実上、同じ民族なんだ。キエフは古代ルーシのロシアの母なる都市。そこから私たちはともに始まったのであり、お互いを抜きにしてはあり得ないのだ。
プーチン演説92)ウクライナには数百万人のロシア人,ロシア語話者が住んでいる。ロシアは常に彼らの利益を、政治的、外交的、法的な手段で守る。しかし、何よりもまず、ウクライナ自身が彼らの利益に関心を払い、保障しなければならない。そうしてこそウクライナ国家の安定と領土保全が保証される。
プーチン演説93)我々はウクライナと仲良くしたいし、強くて主権があって自主的に豊かなになれる国家になって欲しい。ロシアにとっては最も重要なパートナーの一つであり、多くの共同プロジェクトもあり、その成功を信じている。
プーチン演説94)最も重要なことは、ウクライナの領土に、平和と合意が訪れ、ロシアが望むのは、ほかの国々とともにウクライナ支援のために全面的な協力ができるようになることだ。しかし、繰り返しになるが、そのためには、ウクライナ国民自身が、適切に秩序を取り戻すしかないのだ。
プーチン演説95)クリミアとセバストポリの住民のみなさん。ロシアはあなた方の勇気、威厳、勇敢さが本当にうれしいです。あなた方自らクリミアの将来を決めたことがうれしいのです。決まるまでの間、我々は最も近づいたような気持ちになり、互いを支え合いました。心からの連帯でした。
プーチン演説96)このような、急展開した歴史的な瞬間においてこそ、成熟や民族の強い心が試されるのです。ロシア国民は成熟さを示したし、団結によって同胞(クリミア住民)を支えました。
プーチン演説97)ロシアの外交スタンスが強固なことは、数百万人の国民の統一的な意思、政界や市民団体のリーダーたちの支援に基づく。愛国的な雰囲気にお礼を言いたい。我々にとって重要なのはそのような結束だ。それはロシアに立ちはだかる課題を解決してくれる。
プーチン演説98)ロシアは外交的には反発を食らっている。しかし、それを解決し、首尾一貫して民族の利益を守るのか、あるいはそれをあきらめ、放棄してしまうのか。いくつかの西側の国はすでに我々を脅している。制裁だけでなく、ロシア内部で何か激しいことが起こるのではないかと。
プーチン演説99)いったい何を言おうとしているのか。異なる民族の裏切り?あるいはロシアの社会経済状態の悪化?人々の不満を挑発すること?無責任で攻撃的な発言だ。
プーチン演説100)我々は一度も西側と争おうとしたことはない。実際は逆で、文明的で友好的な関係を築くために必要なことをすべてやる。それが現代世界で決められたことだ。